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高畑 保之
川の畔にて
(2008年7月)

工学部キャンパスの西側に小さな川が流れています。堀立川です。 堀立川は米沢盆地のほぼ南端・赤崩において松川(最上川)からの分水を源流とします。その後、南原、笹野などの田園地帯を通ります。米坂線の手前には羽越水害を契機に造られた堀立川遊水池があり、その脇を通って米坂線の鉄橋をくぐります。 鉄橋を通過すると馬頭橋が架かります。馬頭橋の西には白楊寮があります。馬頭橋から堀立川を川の右岸にある細い道を通って北上すると、右手に9階建ての工学部9号館教育研究棟、大学院ベンチャー・ビジネス・ラボラトリ、インキュベーション施設が見えてきます。次いで機械工場、繊維工場、3号館、1号館、プラント実験室などがキャンパス内に植えられた桜並木越しに見えます。この桜並木、4月には堀立川とのコントラストに美しく映えます。やがて左岸には春日山林泉寺が見え、右岸のキャンパス内にはゲストハウスが現れ、桶清水橋に差しかかります。桶清水橋から下流を見ると左岸には長年にわたって独身者・単身赴任者のための職員寮として機能した五色寮があります(2008年7月現在建物は現存)。右岸には高分子系や電気系の単科寮が三つほどあったように記憶しています。これら単科寮は建物も既に無く、現在では学生向けのアパートが建っています。 更に川を下ると、右岸に12棟の林泉寺職員宿舎、工短生向けの正気寮がありました。今では正気寮は無くなり、4階建ての国際交流会館が跡地に建っています。また、正気寮の対岸にも城南職員宿舎が数棟あったと記憶しています。更に下流にくだりますと、田町橋近くには親和寮がありました(現在は民間アパ−ト)。大学の施設ではありませんが、学生向けのアパートが両岸に多数建っています。堀立川はこのあと、米沢城址である上杉公園の西側を流れ、途中で蛭川が合流、川幅や水量を増してすこやかセンター(旧米沢興譲館高校跡地)付近、米沢中央高校の傍を流れていきます。春日橋(国道121号線バイパス)、芦付橋(旧13号線)、堀立川大橋をくぐり、米沢クリーンセンター(し尿処理場)の傍らで松川と合流します。 堀立川
駅から市街地に移動する際に、山形を代表する大河川・松川(最上川)が皆さんを歓迎します。松川は河川敷公園も整備され、秋の芋煮会をはじめとして朝晩にはジョギングコース・犬の散歩コースとして市民の親水空間を形成しています。一方、堀立川は小さな川で、そのほとんどが治水のために線形改良され、コンクリート護岸が目立つ典型的な都市河川の様相を呈し、昭和50年代には山形県内の汚い川ワースト5に入ったこともあります。ですが、市街地を流れることから市民の皆さんには馴染み深い河川ではないでしょうか? この堀立川の水質調査や浄化に関する基礎研究の取り組みに筆者は5年ほど前から関わらせていただいています。研究に携わるにあたって堀立川について色々と調べていきますと、直江兼継の名前にあたりました。上杉景勝が越後から会津に移された時、景勝の家臣であった直江兼継が米沢の城主となります。米沢を任された直江兼継は、松川の流れを城下に引き込みます。その流れ−運河が堀立川であることを知りました。また、市民の方の話で以前はもっと小さな川であったこと、蛇行していたこと、子供たちの遊び場になっていたことなども知ることができました。そして、今回、本小文を書くにあたって堀立川の川沿いには大学の関連施設が多数あったことに気がつきました。 ちなみに、水質面ではBOD(*)は昭和50年代と比較し、かなり改善されています。これは周辺流域の下水道が整備され、接続率も向上しているためであると思われます。下水道の接続率の上昇は汚濁物質の流入を低下させるのですが、水量の減少を招きます。加えて、農業用水の取水や水門の開閉によるコントロールなどによって、水量が少ない河川です。水量が少ないため、蛭川より上流では土砂が堆積しやすく中洲の状態が多数見られ、そこに水生植物が繁茂しています。見た目はあまり良くはないのですが、鴨には良い隠れ家になるようです。魚も戻ってきているそうです。 自分自身振り返ってみても、学生時代にはあまり気にかけなかった川です。当たり前に生活空間に存在しているために、気にもかけられない川でありますが、それもまたこの川にふさわしいと思いつつ、紹介させていただきました。2009 年の NHK 大河ドラマ「天地人」は堀立川の産みの親とも言える直江兼継を主人公としています。ドラマを眺めつつ、米沢や堀立川を覚えていただけましたら幸いです。

* BOD = 生物化学的酸素要求量 [mg/L] 。河川の水質の汚濁を表わす一般的な指標。 水中の有機物を微生物が摂取・代謝する際に消費する酸素量である。BOD が高すぎると空気中からの酸素の供給が追いつかず、 その結果、水に溶存する酸素が無くなるため、魚が棲息できなくなり、いわゆる死んだ川、腐った川になる。

高畑 保之(たかはた やすゆき)
物質化学工学分野 助教

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