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多賀谷英幸
理研でのポスドク
(2010年8月)


 応用生命システム工学分野の渡部です。工学部には学生として9年、職員として7年の計16年間、大変お世話になっております。1991年に電子情報工学科に入学し、1995年に電子情報工学専攻博士前期課程、1997年にシステム情報工学博士後期課程に進学しました。2003年3月に生体センシング機能工学専攻の助手として赴任してきました。こうして振り返ってみると、これまで所属してきた学科や専攻は、学科改組により、その名前はありません。自分がいた学科が時代の流れと共になくなっているのは多少残念な感じがします。

 理化学研究所(理研)でのポスドクの話をしたいと思います。理研では基礎科学特別研究員制度のポスドクに採用されました。略して「基礎特研」と呼ばれています。この制度は「創造性、独創性に富んだ若手研究者が、自らが理研において実施を希望する研究課題と理研の研究領域を勘案して設定した研究課題について、自由な発想で主体的に研究できる」という内容です。この制度で研究できる期間は最長3年です。採用試験は研究計画書の書類審査と計画書のプレゼンを行う面接試験がありました。面接官からは「よく分からない研究だな」と言われ、こりゃダメだなと思いましたが、なぜか合格でした。採用後、同期の基礎特研の懇談会にいってみると、東京大学など大学受験で偏差値の高い大学出身者はほとんどでした。正直「山大でやってきたことが通用するか?」と思っていました。

 最初に所属したのは、光工学研究室で数人の常勤の研究員と修士の学生がいました。グループリーダーは残り1年半で定年退職ということで、その後の研究室は、どうなるかは分からない状況でした。自分が置かれている状況は、1年半という短い期間で学会発表や論文掲載などの研究成果を上げなければならないということでした。この研究室の歴史は古く研究室の運営はキチンとしており、毎週月曜の午前中に研究進捗の発表をしなければなりませんでした。学生のとき所属した研究室では、このような報告会はなかったので、これが一番大変でした。実験主体の研究だったので、実験のうまくいかなかった週末は、本当に憂鬱でした。研究のテーマですが、「自由な発想で主体的に研究できる」と基礎特研なので、自分の研究計画書の内容ができるものだと思っていましたが、実際に与えられたテーマは前人者の内容を引き続き行うというものでした。「え!」と思いましたが、それをやるしかなかったです。最初は全く研究が進まない状況が続きましたが、その後、自分の得意とする信号処理や画像処理を使って、自分なりに研究を発展させることができました。

 1年くらいはあっというまに過ぎて、次の職をどうしようか考えていたとき、知人の紹介がきっかけで理研のテラヘルツの研究を行っているグループに所属することができました。このグループは、立ち上がって間もないときで、前の研究室のような毎週の報告会がなかったので、比較的自由に自分のペースで研究を進めることができました。研究は、テラヘルツ差分イメージングということでテーマを与えられました。最初は与えられたことをやるしかなかったですが、研究が進んでくると複数の周波数(波長)で画像計測をしていましたので、「主成分分析して、各成分の空間分布が得られる」と思い、誰にもいわず、こっそり実験を進めていました。光計測の分野で知られていた画像処理の方法なので自分の中では絶対うまくいくと思っていましたが、きちんとした結果が出る前にプランを公表しても、「与えたテーマをしなさい」と言われる恐れがあったので、そこはこっそりと研究を進めていました。久しぶりに報告会があったので、自分の成果を報告しました。もちろん改心の一撃です。グループリーダーは、研究グループを立ち上げたばかりといくこともあり、かなり喜んでくれました。その晩は祝杯を挙げたようです。自分が研究成果は、テラヘルツの分野では、初めてということもあり、すぐに論文や特許などが出て、その後の論文の引用回数はかなり多くなりました。

 理研には、約2年半いました。老舗と新装開店の研究室という全く異なるタイプの研究グループに所属し、研究ができたことは、非常に運が良くいい経験だったと思います。今は、指導者として理研にポスドクを送り出す立場にいます。「山大でやってきたことが通用する」人材を育てていきたいと思います。

渡部 裕輝(わたなべ ゆうき)
応用生命システム工学分野
准教授

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